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日本人の多くは腰痛を経験しています。
腹筋や背筋を鍛え、腰に負担をかけない生活を心がけましょう。 |
■はじめに・・・ |
日本人の多くは腰痛があるといわれています。若い人からお年寄りまで、腰痛はさまざまな形で私たちを悩ませています。
腰痛の多くは筋肉の疲労、骨・関節の異常が原因ですが、それ以外にも内臓の病気や、精神的な問題からも起こります。
適度な運動と、バランスのとれた正しい姿勢を保ち、できるだけ腰に負担をかけない生活を心がけましょう。 |
■ご家族の方に |
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急な腰痛で安静にする場合、敷ぶとんは2枚重ねにしないで、1枚にして下さい。マットレスは硬めのものを使いましょう。柔らかいベッドはかえって骨の反りが強くなり、痛みがひどくなる場合があります。
・エアコンなどで、体を冷やしすぎないようにして下さい。
・ハイヒールは腰を痛める原因になりますので注意して下さい。
・ショルダーバックなどは左右の肩交互にかける癖をつけ、体のバランスをとって下さい。
・腰痛がある場合は運動を避けてください。運動をするときは医師に相談して下さい。 |
腰痛について、あなたはどれだけご存知ですか?
ご家族で一緒になってチャレンジしてみてください。(解答はページの最下部をご覧下さい)
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ほとんどの腰痛は不自然な姿勢をとったり、重いものを持ったりして、腰背筋(ようはいきん)に緊張と痛みが起こります。
背骨は一本の棒ではなく、積み木のような骨がS字状のカーブを描いてつながっています。
多くの腰痛は、上半身の重みを支える腰椎(ようつい)領域に過重な負担がかかるために起こります。
※もともと人の骨格は4本足で歩くようにできています。いわば腰痛は、2本足で歩くようになった人間の宿命といえます。
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■腰痛は主に次の3つの原因によって起こります。 |
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骨の疾患:腰部は骨・関節・筋肉・靭帯(じんたい)・椎間板(ついかんばん)・腱(けん)などで構成されています。これらに無理がかかったり、異常によって腰痛が起こります。とくに腰を使った拍子に急に腰痛が起こり、しばらく動けない場合はぎっくり腰とよばれています。
内臓の疾患:胃・腸・胆のう・膵臓(すいぞう)・消化器疾患、腎臓・尿管・膀胱などの泌尿器疾患、子宮、卵巣などの婦人科疾患がある場合にも腰痛が起こります。
精神的原因:ストレスなど過度の精神的な心配や悩みごとがある場合にも、腰痛がよく起こります。 |
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●日常生活の注意
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■急に腰が痛くなったら |
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急に腰が痛くなったら、楽な姿勢(エビのような格好など)で安静にして休みます。1−2日たっても改善しなければ整形外科で検査をしてもらいましょう。安静にしても、だんだん痛みがひどくなるときには、一刻も早く専門医の診断を受けてください。 |
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■安静時の寝方 |
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●上手な寝方 |
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膝の下に折り重ねた座布団などを置き、膝をあげる |
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椅子などの台に足をゆったりあげる |
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横向きに寝て、エビのように腰を丸くする |
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●悪い寝方 |
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ベッドが柔らかすぎると腰の反りが強くなる |
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うつぶせは仰向きより首や腰に無理がかかる |
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高い枕は首に無理がかかる |
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■ディスクワーク中の椅子の座り方 |
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●上手な椅子の座り方 |
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背筋を伸ばして、軽く前かがみになります。 |
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●悪い椅子の座り方 |
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高すぎると腰のそりが強くなり、脚も疲れます。背もたれに
よりかからないようにします。 |
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■立ちっぱなしの台所の立ち方 |
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●上手な台所の立ち方 |
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片足を10cmほどの台にのせて仕事をすると楽になります。 |
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●悪い台所の立ち方 |
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蛇口が遠かったり、台が低いと、前傾姿勢になり腰に負担をかけます。 |
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■重い荷物の持ち方 |
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●上手な物の持ち方 |
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腰をさげて体に近づけてから持ち上げると負担が少なくなります。 |
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●悪い物の持ち方 |
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立ったままでは「ぎっくり腰」などの原因になります。 |
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■運転時の座り方 |
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●上手な座り方 |
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座席をひきつけ、膝の高さが股関節と同じかやや上になるようにして背筋を伸ばします。 |
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●悪い座り方 |
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ペダルが遠かったり、シートをややたおすと、かえって腰に負担をかけます。 |
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●腰痛体操の仕方
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腰痛体操はバランスのとれた姿勢をつくり、脊柱(せきちゅう)を柔軟にし、腹筋、臀筋(でんきん)を強くし、背筋(はいきん)など縮んだ組織を伸ばして腰痛にならない体をつくることを目的としています。 |
■腹筋運動 |
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ゆっくり起き上がり、肩が床から25cmのところで5秒止め、再びもとの位置にもどします。この体操を3回くらいから始めて、慣れたら10回くらいします。 |
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■臀筋運動 |
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おなかとお尻を縮め、上体はそのままで。おへそをあごの方に向けるようにします。5−10回くらい行い、ゆっくり休みます。 |
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■背筋の伸ばし方 |
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両手で両ひざをわきの下に抱え込みます。できれば10−20回くらい連続して行います。 |
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■屈筋の伸ばし方 |
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手指が足先に届くように体をかがめ、ひざのうしろにある屈筋を伸ばします。 |
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■股関節の伸ばし方 |
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片足をできるだけ曲げた状態で、足をかかえで交互に行います。 |
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■しゃがむ運動 |
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両足を30cm離して立ち、上体をまっすぐにしたままゆっくりしゃがみ、またゆっくり立ち上がります。 |
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こんなときは、すぐに病院で検査を! |
腰痛はインフルエンザ、ウイルス性感染症などによっても起こります。胃炎や胃・十二指腸潰瘍、胆石症、胆のう炎などでは、腰痛や背中の痛みが起こります。膵(すい)炎、膵(すい)がん、悪性腫瘍が腰椎(ようつい)に転移した場合でも腰痛が起こります。泌尿器系では、尿路結石、腎盂腎炎(じんうじんえん)が主ですが、前立腺(ぜんりつせん)の腫瘍でも腰痛が最初の症状になることがあります。
激しい痛みや、いつもと違う痛みを腰や背中などに感じたらすぐに病院で検査を受けましょう。 |
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知って得する豆知識 |
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一般用医薬品の使い方 |
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■<冷湿布と温湿布> |
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腰痛に用いられる貼り薬や湿布薬には、刺激を与えて血行をよくする効果があります。
冷湿布と温湿布の2種類があり、メントールの作用を利用したものが冷湿布薬、トウガラシエキスの作用を利用したものが温湿布薬です。
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■<冷湿布と温湿布の使い分け> |
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急性で患部に炎症があるようなときは消炎効果のある冷湿布、また慢性の腰痛などには温湿布を用います。
「ぎっくり腰」のように急激に起こった腰痛では、最初の1−2日は冷湿布、痛みがやわらいできたら温湿布に切り替えるのが普通です。 |
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■<皮膚の弱い人はスプレーや塗り薬を> |
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湿布薬は長時間使用しますので、皮膚の弱い人はかぶれを起こすことがあります。そのときは湿布を止め、塗布薬やスプレーで代用しても同じ効果が得られます。 |
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■<早く痛みを取りたいとき> |
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早く痛みを取りたい方はアスピリン、アセトアミノフェン、エテンザミド、イブプロフェンなどの配合薬の飲み薬があります。インドメタシンなど関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症などに使用される医療用医薬品が、一般用医薬品(OTC)としてドラッグストアなどで販売されています。このように医療用から一般用医薬品に転用された医薬品をスイッチOTCといいます。 |
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■セルフメディケーション
クイズ 解答 |
Q1:YES Q2:YES Q3:NO(軟らかめのベッドはかえって腰に負担をかけます) Q4:NO(うつ伏せの方が腰への負担は大きくなります) Q5:YES Q6:NO(立ったまま腰を曲げて、荷物などを持つと「ぎっくり腰」の原因にもなりま
す) Q7:NO(腰に痛みがあるとき、運動を控えてください。運動は予防が目的です) Q8:NO(急な痛みで熱があれば冷湿布を用います) Q9:YES Q10:NO(かかとが高い靴は腰への負担が多くなりますので避けましょう)
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